消化器内科Gastroenterology
消化器内科
逆流性食道炎、慢性胃炎、胃潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、感染性胃腸炎、胃がん、大腸がん、ピロリ菌感染症等を中心に、消化器科系の症状を診断し、治療を行います。
当院は院長、副院長とも、消化器病専門医であり消化器内視鏡専門医および指導医です。消化器病の診療経験は豊富ですので、皆様の症状を的確に診断し、素早く治療にかかることが出来ます。
また、消化器病の領域は精神的ストレスが原因となることも多く、心療内科とも連携をして、治療にあたることもあります。どんな症状でもご相談ください。
当院は、県立がんセンター、自治医大さいたま医療センター、さいたま市立病院、埼玉メディカルセンター等の連携医療機関ですので、がんや重症例でも速やかに紹介、受診が可能です。
逆流性食道炎
食道に胃液が頻回に逆流することで、食道の粘膜が障害され、びらんや潰瘍を起こす疾患です。
胸やけや、呑酸(口の中に酸っぱい液や、苦い水がこみあげてくること)、げっぷ、みぞおちの不快な感じがおきます。
男性では中年以降から、女性は高齢者に多くみられます。
食べ過ぎた後や、高脂肪食、甘いものを食べた後に起こりやすくなります。最近は若い人にも、多く見られるようになりました。
治療には、H2受容体拮抗剤やプロトンポンプ阻害薬を使用します。症状が治まっても、びらんや潰瘍が残っていることもありますので、内視鏡検査で治癒を確認して、薬を減量していくことが必要です。
食道がん
食道がんは、頻度は少ないのですが、50歳以上の男性に多く、飲酒歴や喫煙歴のある方に多い疾患です。
発症早期は無症状か、食道が「しみる」感じがあるぐらいです。進行すると嚥下障害や体重減少が起こり、多臓器へ浸潤すると嗄声、咳嗽、胸部痛を起こすこともあります。
早期に発見することが必要で、当院ではハイビジョン画像の内視鏡GIF-H290でNBIという特殊光を用いて、早期がんを発見することに努めています。
慢性胃炎
慢性胃炎とは、長期間にわたり胃粘膜がびらんと再生を繰り返し、その結果として胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)をなどの変化をきたしたものです。
本症は病理組織学的、内視鏡学的な疾患概念であるため、原則として症状の有無は問いません。原因としては、大部分がヘリコバクターピロリ菌の感染であり、その他には自己免疫的機序が関与するものがあります。
ヘリコバクターピロリ感染症
ヘリコバクターピロリ菌はグラム陰性桿菌で、感染経路は口-口感染や糞-口感染で、多くが小児期に起こります。
一般に無症候者の抗ヘリコバクターピロリ抗体陽性率は年齢を重ねるにつれて高くなり、20歳で10%、40歳で20~40%となります。ヘリコバクターピロリが感染した胃では粘膜が障害を受け、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの疾患が引き起こされます。内視鏡検査を行い胃がんがないことを確認して、ヘリコバクターピロリ菌の除菌治療を行えば、胃がんの発生を予防することが出来ます。また、早期胃がんの内視鏡的治療後に除菌治療を行えば、胃がんの再発を予防することも可能です。
ヘリコバクターピロリ菌に関連しない胃がんもありますので、胃がんの発生確率をゼロにすることはできません。除菌治療後も定期的に、胃がん検診を受けることは必要です。
機能性ディスペプシア
数か月間続く食後のもたれ感、早期膨満感、心窩部痛や心窩部灼熱感(限局性で間欠的、排便や放屁で改善しない)などの症状があって、内視鏡検査、腹部超音波検査や血液検査で、原因となる器質的な疾患を認めない状態です。食生活の乱れや、ストレスなどが原因になることが多いものです。
最近の概念ですが、消化器の診療所に来院される患者さんの多くの方が、この疾患に該当します。
胃がん
胃粘膜に発生する悪性腫瘍で、がんの浸潤が粘膜下層までにとどまる早期がんと、固有筋層以下に浸潤した進行胃がんに分類されます。危険因子としては、ヘリコバクターピロリ感染、食塩の過剰摂取、βカロテンの摂取不足などがあげられる。近年胃がんによる死亡率は、減少傾向にありますが、がん死亡の中では肺がんに次いで、2番目に多いものです。内視鏡による胃がん検診が行われるようになったことやヘリコバクターピロリの除菌治療が行われるようになって、胃がんも減少してきているようです。治療には、手術と内視鏡による粘膜切除術があります。
当院では、体に負担の少ない内視鏡治療ができる早期胃がんの発見のために、NBIや色素を用いた方法で、内視鏡検査をしています。
過敏性腸症候群
消化器症状がありながら、その症状を説明できる器質的病変を特定できない病態を機能性消化管障害とし、そのうち大腸・省庁由来の消化器症状(下痢多便秘、腹痛)を呈するものを過敏性腸症候群といいます。一般人口の約15%みられる頻度の高い疾患です。ストレスの関与が考えられていますが、その明確な原因は不明です。便の性状により、便秘型や下痢型など4つのタイプに分けることが出来ます。治療には、患者さんにがんなど重大な疾患ではないことを説明し、生活指導や薬物治療を行います。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎とクローン病があります。
潰瘍性大腸炎は、主に大腸粘膜を侵し、びらんや潰瘍を形成する原因不明のびまん性炎症性疾患です。病変は直腸から始まり連続性に広がります。経過中に再燃と緩解を繰り返し、種々の合併症を伴うこともあります。長期に広範に大腸を侵す場合は、大腸がんのリスクも高まります。10歳代後半から30歳代前半の若年者に好発しますが、小児や50歳以上にもみられます。典型的には、下痢、粘血便、腹痛、発熱などを呈しますが、病変範囲や重症度によって左右されます。近年増加傾向にある疾患です。当院では、苦痛の少ない大腸内視鏡検査で、積極的に検査診断を行って加療を開始します。軽症例では、サリチル酸塩製剤や副腎皮質ステロイドで、緩解導入を行っています。重症例では、免疫抑制剤、免疫調節剤や手術が必要になる場合もあります。
クローン病:10歳代後半から20歳代に好発する、原因不明の肉芽腫性炎症性疾患です。消化管壁は全層性に障害され、消化管のどの部位にも起こりえますが、回盲部に好発し非連続性に病巣を形成します。症状は、腹痛(特に右下腹部痛)、下痢、体重減少、肛門部病変などがみられる。根治療法はなく、治療は長期に渡ります。我が国の有病率は欧米と比べると少ないのですが、近年増加傾向にあります。治療は腸管の安静と食事由来のアレルギー性物質を除去することを目的に成分栄養剤や半消化態栄養剤を用いる栄養療法と、サリチル酸塩製剤、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤、免疫調節剤等の薬物療法があります。重症例や腸管狭窄等の合併症に対して外科的治療を行うこともあります。
大腸がん
大腸粘膜から発生する悪性腫瘍です。S状結腸や直腸に好発します。組織型はほとんどが腺がんです。
早期がんは症状に乏しく、大腸がん検診での便潜血陽性例に対する大腸内視鏡検査や、他の目的で行った内視鏡検査時に発見されることがほとんどです。
がんが進行するにしたがって、血便、便秘、便柱狭小化、腹痛等の症状がみられるようになります。
大腸がんの発生には、正常粘膜から腺腫を経てがんに至るものと、正常粘膜から直接がんを生じる場合がありますが、ほとんどのがんが前者の腺腫を経て発生するものです。早期の大腸がんであれば、内視鏡的粘膜切除術で、完治させることが出来ます。
また、がんになる前の腺腫の段階で、腺腫を内視鏡的に切除しておくことが、がんの予防にもなります。便潜血反応で行う大腸がん検診を受けることが大切です。
また血便等があった場合には積極的に大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。当院では、鎮痛剤と鎮静剤を併用した苦痛の少ない内視鏡検査を施行しています。
大腸ポリープ
大腸ポリープとは、大腸粘膜面から内腔に向かって突出する隆起性病変の総称です。病理学的には様々なものが含まれるが、多くは腫瘍性の腺腫か、非腫瘍性の過形成性ポリープです。よく皆さんが耳にする「ポリープを取りましょう」とか、「ポリープを取った。」というときには、この腺腫というポリープの場合がほとんどです。大腸ポリープは通常無症状で、大きなものでは、血便や下血を起こしますが、大腸がん検診等の便潜血反応陽性で、精密検査として大腸内視鏡検査を受けた時やほかの目的で内視鏡検査を受けた時に発見される場合が多いものです。
腺腫は放置しておくとがんになるかのせいもありますから、出血等の症状のある場合や5mm以上の腺腫、がんが疑われるものは、内視鏡的治療の適応になります。
当院では、電気で焼却する方法ではなく、コールドポリペクトミー(Cold Forceps Polypectomy; CFPやCold Snare Polypectomy; CSP)を行って、従来の方法より安全に、かつ迅速に治療を行っています。
慢性肝炎
肝疾患の原因としては、わが国では肝炎ウイルス、アルコール、肥満、薬剤によるものが多い。このうち肝炎ウイルスによる慢性肝炎は徐々に進行し、肝硬変に至った場合、肝細胞がんへの進展が多くみられます。アルコール性肝障害でも、肝細胞がんの発生がみられます。また最近はNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)という病気が注目されています。この疾患は、飲酒をしないのに、脂肪肝から進行し肝硬変や、肝細胞がんを起こしてしまう病気です。
A型肝炎
A型肝炎は、海外渡航時等に生水や生ものなどの摂取により感染し、急性肝炎で発症し、慢性化することなくほとんど治癒します。
B型肝炎
通常、成人のB型肝炎ウイルス初感染では急性肝炎を起こし、ウイルスを排除して治癒することが多い。一方、乳幼児期に母子感染などで、初感染が起きた場合には、免疫反応が不十分なためにウイルスの排除が起きにくく、持続感染(キャリア)となることが多い。キャリアになっても、成人になって、自然にウイルスが排除されることもあります。また一方で、持続感染から慢性肝炎や肝硬変に進展していく場合もあります。現在は、核酸アナログ製剤が出現し、経口製剤で治療することが可能になりました。
C型肝炎
C型肝炎の歴史は浅く、1989年にC型肝炎ウイルス(HCV)が同定されるまでは、輸血を受けた患者の7~20%がHCVに感染していました。
1999年に輸血用血液に対して核酸増幅検査(NAT)が導入されてからは、輸血感染はほとんどなくなりました。
1994年以前にフィブリノゲン製剤を投与された人、1992年以前に輸血を受けた人などがハイリスクグループの例として挙げられている。
C型肝炎はウイルス性肝炎の中で最も慢性化しやすく、慢性化した場合20~30年の経過で肝硬変や肝細胞がんへと進展します。肝細胞がんの原因に占めるC型肝炎の割合は70%です。診断には、HCV抗体とHCV-RNAがありますが、HCV抗体は陽性化するまで約2か月かかり、初診時に測定しても陰性の事があるため、初診時と1~2か月後の2回の測定で診断します。
既感染でもHCV抗体は陽性を示すので、必ずHCV-RNAを測定します。HCV-RNAは感染後数日で陽性になります。従来、C型慢性肝炎の治療にはインターフェロン(IFN)は不可欠でしたが、副作用も多く効果もあまり認められませんでした。
2011年より直接型抗ウイルス薬(DAAs)が登場し、2014年にはIFNを使用しない治療薬が認可され、2015年認可の新薬、ソホスブビル・レジパスビル配合剤のSVR(ウイルス学的著効)率は100%の好成績となっています。
今後も新薬の開発が行われており、さらに治療が進歩すると思われます。当院では院長、副院長共にウイルス性慢性肝疾患の治療医の認定を受けていますので、ご相談をください。必要ならば専門医への御紹介も、行っています。